原材料の特徴を活かした「米のうま味が伝わる酒」。

現在、酒の多様化が進んでおり、日本国内に限らず世界中のバラエティに富んだお酒が簡単に手に入るなか、当蔵元「美吉野醸造株式会社」では、日本酒が本来持っている酸味や旨味をバランスよく引き出し、日本酒らしさを大切にすることが重要だと考えております。
実際に花巴が表現している「米のうま味」を感じていただければ、今まで気づかなかった日本酒の美味しさを発見、又は再発見をしていただけると信じております。
そのため、飲むと「お酒のストーリーや蔵元の顔や想いが見えてくるような、他に代わりがない酒」に魅力を感じていただけ、清酒花巴と出合ったことがお客様の喜びとなるように丹精込めた酒造りを行っております。

バランスのとれた上質な酸を引き出すこと。

清酒の製造工程には、「酸」を巧みに引き出し腐敗を防止しながら正常な発酵を進めるメカニズムがあります。そのため清酒醸造において酸は、大切で無くてはならないものです。
お酒の酸は、「酸味」と一言で言っても、「すっぱく感じる酸」「スッキリと感じる酸」「辛く 感じる酸」など様々です。清酒の酸は主に、酵母菌により生成されますが、その他、酒母や麹なども酒質に影響を与えており、コハク酸やリンゴ酸や乳酸など数種の酸で構成されておます。
そのため、酒造りの製法によって、蔵元それぞれに酸の特徴が現れるのです。当蔵では「酸」の質を追求するだけではなく、米の「うまみ」を引き出すことが出来るように、麹菌をよく繁殖させた「力の強い米麹」に仕上げて、日本酒らしいバランスを大切にしております。

良い原料による健全な発酵からは、良い香りが生まれる。

当蔵のお酒は、ほとんどすべてに共通点があります。それは、上立ち香よりも「含み香」を主体とすることです。
含み香とは、清酒を口に含んで味わったときに、呼気とともに鼻に達して感じる香りのことを言います。つまりお酒を口に含んで口中で感じる香りです。当蔵では、この含み香を大切にし、「自然で心地よく、料理の邪魔をしない」香り目指しております。

なぜなら、お酒の良さをじっくりと味わって頂くためには、過ぎた香りは料理との相性を損ない、邪魔になると考えております。 それゆえ、口に含んで初めて上品でいて華やかな香りが口中に広がるよう仕上げています。

また、次にご説明いたします「熟成」の変化でも香りの質は非常に重要で、新酒時期に香りが良くても、秋口になると変わってしまうような香りは、当蔵の熟成させて仕上げるお酒には向きません。 そのため長年の実績と安定感のある定番の酵母を選定し、完全発酵型の強いもろみを造ることを心がけております。 さらに、蔵の風土に根差した酒を追及する結果、約10年(17BY)ほど前から酵母菌を添加しない酒造りをスタートさせ、より郷土料理に寄り添える地酒を目指しております。

調熟させた酸のある酒に勝るものなし。

清酒花巴の味わいを形成する際に切り離せないのが熟成の変化です。 出来たばかりのお酒(新酒)は、香味が若く荒い感じがするものですが、貯蔵して時間が経つにつれ次第に香味が調和し、飲みやすいお酒となっていきます。この変化を熟成(調熟)といい、お酒のおいしさを引き出す大切な条件のひとつと考えております。
当蔵では、お酒の種類により熟成方法を常温からマイナス2℃まで変えております。

低温での熟成は、香りの劣化を抑えながらじっくりと熟成が進み、「心地よい含み香」「優しい口当たり」「複雑な味わい」を生み出しております。

常温での熟成では、より「深い味わい」「酸と旨味の調和」を堪能できる地酒らしさが生まれます。
冷蔵設備がなかった時代、「夏を越せる酒を造る」ことが酒造りの優劣を分ける大きな指標であり、いかにその土地の風土を理解し酵母をどのように育てるかの知恵や工夫が酵母無添加の酒造りの基本と考えております。このように醸すことが花巴にとっての地酒らしさにつながるとの考えのもと、日本の四季を生かした自然の温度変化を熟成スタイルとして取り入れております。

お酒は生まれてからお客様の元へ届くまでの間に、管理次第で良くも悪くもなります。細心の注意をはらい管理された良い熟成は、お酒に深みと調和が備わり、凄みを感じさせられるお酒に仕上がります。

さらに、上質の「酸」「コク」と「安定した香り」を備えているお酒は、適切な管理の元で長期間の保存に耐えられるため、お客様の好みにあわせた飲み頃を見出すことができます。

「造り手」「売り手」「お客様」の清酒花巴に出合ったすべての方に、いつ飲んでも変わらない美味しさや、お酒の奥深さをお届けしたいと考えております。