春圧巻の吉野桜、味わいにも広がりのある酒でありたい。

花巴(はなともえ)は、創業より私ども蔵元が大切に育ててきた清酒銘柄です。 創業当時は、花巴正宗(はなともえまさむね)として販売しておりましたが、時代と共に正宗を省略するようになり、花巴として現在に至ります。(※現在は蔵元で販売しております商品は花巴正宗となります。

花巴の銘柄由来の説明をする前に、まず当蔵がある奈良県吉野について少しご紹介いたします。
奈良県のほぼ中央部に位置する吉野地方は、一目千本で知られる桜の名所である吉野山があります。 その桜の数は3万本とも言われ、春になると見渡す限りの桜で埋め尽くされます。
昔は吉野山へ行く際に川を渡る必要があり、川を渡りきった場所に私どもの蔵がある六田(むだ)とばれる場所があり、旅の疲れを癒す宿場町として栄えたそうです。
現在でも「柳の渡し」とよばれた渡し舟の後に柳が植わっています。 そのため特に春の時期には多くの花見客で賑わっていたそうです。きっと昔から春の桜を身近に感じていたのでしょう。

このようなことから考えても花巴の(はな)は、桜を意味しており、(ともえ)は「物が円を描くようにめぐり巻く様」と辞書にあり、吉野山の桜の広がり、もしくは桜吹雪を表しているとされています。

吉野山の桜の木は、修験道の開祖である役の行者(えんのぎょうじゃ)が、金剛蔵王権現の姿を山桜の木に刻みお祀りしたことから、信仰する信者たちにより献木として1本1本と植え続けられたことで、現在の桜の名所としての吉野山があると言われております。
私ども蔵元も先代から大切に受け継がれてきた、花巴(はなともえ)という清酒銘柄に埃をもち、吉野山の桜のように1本1本を大切に蔵元の思いを込めてお客様へお届けしたいと考えております。