酸を解放する酒造り

酸を解放する酒造り

The charm of acid

酸の魅力

酸のある酒とは、ただ単に酸っぱい酒ということではありません。 
『日本酒は、繊細で品のある味わいを表現することが良い』とされた時代には、単純に『酸=酸っぱい』と思われていました。今もなお、酸度が高いと味の邪魔をして飲みにくく、酸を抑えることでまとまりが取れるというイメージは、多くの方が持っているかもしれません。

しかし、美吉野醸造が目指す酒造りは、酸を抑える酒造りではなく「酸を解放する酒造り」です。

ただ酸度を高めることではなく「吉野の風土に寄り添ったことで発酵が酸を生み出すのなら、それに見合うだけ米の旨味を引き出そう」といった醸造スタイルと言っても良いかもしれません。

50年間張り替えなしの吉野杉の麹室 この麹室でつくられる総破精麹が花巴の味わいのDNAを受け継ぎます。

三つの製法で酸を活かした酒造り

美吉野醸造は市販の酵母菌を使わず、蔵に住み着いた酵母菌を生かし使う伝統的な製法です。
製法には、水酛・山廃・速醸のそれぞれの特長を活かし、サーマルタンク・ホーロータンク・木桶の特長に吉野の季節の違いを組み入れて、独特の味わいのある酒を造ります。
この無限の組み合わせを、杜氏の感性で感じ取り、その時々に最適な酒に仕上げています。

酸を活かした酒造り

酸のある酒が酸っぱい酒ではない

美吉野醸造の酒造りの特徴は、今までの酒造りでは語ることのできない『酸と旨みが主張し合う酒造り』です。 
酸だけが強い酸っぱい酒、逆に旨みが強く、酸が少ない雑味の多い酒、それぞれの個性を引き出しバランスを取るのが杜氏の仕事です。
山廃、速醸、水酛という製法の酸のニュアンスを纏うことで、酒の見え方はより複雑で多様になって来ます。 

こうした美吉野醸造独自の酒造りは、吉野の風土に逆らうことなく寄り添うことから始まりました。
寄り添うことで、酸と旨み両方のバランスが取れたお酒を醸し出すことが可能になったのです。


美吉野醸造が、吉野で日本酒を造り続けていく価値がどこにあるのかと問われたら、こうした風土に根差した酒造りの中にその価値があり、吉野の風土から素晴らしい財産を頂いているとお答えできると思っています。